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THE ARCHIVE — 記録の書架

この世界に伝わる、
四つの記録

記録の書架に残されていた本を、
そのまま書き写したものです。

第 一 章

灯が消えた日

はじめに消えたのは、灯りではなく、視線でした。

この街には、昔から一つだけ変わったところがありました。誰かに見られているあいだ、世界はそこに在る。見る者がいなくなった土地から順に、輪郭がぼやけて、やがて思い出せなくなる——そういう場所だったのです。

ある夜を境に、見る人が減っていきました。理由は誰にも分かりません。街のはずれから順に、家々の灯りが一つ、また一つと落ちていきました。人々は理由を探しました。空を見上げた者、地面を掘った者、境界まで歩いていった者。誰も、何も見つけられませんでした。

最後の灯が消えたとき、この大地に残っていたのは、風の音だけでした。

なぜ世界が忘れられたのか。それは、いまも誰にも分かりません。この本を書いた人も、知らないまま書いています。

第 二 章

境界

世界が忘れられきる、その寸前。何かが、この一区画だけを囲いました。

残ったのは、スポーン地点のまわり9×9チャンクだけ。
144ブロック四方の、ほんの小さな地面です。
かつての広大な大陸のうち、覚えていてもらえたのは、ここだけでした。

その外側には、赤い霧のような壁が立っています。
近づくと押し返されて、一歩も出られません。
誰が囲ったのか、何のために囲ったのか。
守るためだったのか、閉じ込めるためだったのか。
それを書き残した人はいません。

けれど、境界を押し返す方法が、ひとつだけ見つかりました。
誰かが世界を語り、誰かがそれを見ること。
見られているあいだ、世界は思い出されます。
ひとりが見てくれるたび、
失われた土地がほんの少しだけ、返ってくるのです。

思い出すのに足りるだけの視線が集まると、
境界のどこか一区画が返ってきます。
どこが返ってくるかは選べません。
近いところから、その日の気まぐれで。
街がどちらへ伸びるのかを決めているのは、たぶん誰でもないのです。

だからこの世界では、土地が足りません。資源も足りません。
誰かの家の灯りが、いつも視界のどこかにあります。
隣に立つ以外に、立つ場所がないからです。

それを窮屈と呼ぶか、心強いと呼ぶかは、住む人しだいでした。

第 三 章

最初の一人

長い沈黙のあと、誰よりも先に、
ひとりが戻ってきました。

その人は、街の真ん中で崩れかけていた塔をのぼりました。
そして、てっぺんにたった一つだけ灯をともして、
誰にともなく、この街のことを話しはじめました。
返事はありませんでした。それでも、話しつづけました。

どれくらい経ったころでしょうか。
ひとりだけ、聞いている人がいました。その人が聞いていたあいだ、
境界がほんの少しだけ、外へさがったのです。

それだけです。
家を建てるでもなく、畑を作るでもなく、
ただ高いところで話しつづけた人と、それを見ていた誰か。
ふたりで、地面をひとかけら取り戻しました。

けれど、その灯を遠くから見た誰かが、また戻ってきました。
崩れた塔を直し、空いた土地に家を建て、隣にもう一つ灯がともり——
やがて再び、街の灯がともる。
いま、あなたが見ているこの街並みは、そうやってできています。

最初の一人が誰だったのか、記録には残っていません。
名前も、どこから来たのかも。
その人の話を聞いていた人が誰だったのかも、分かっていません。
塔の灯だけが、いまも消えずに点いています。

第 四 章

——

この先は、まだ書かれていません

この街には、シーズンの終わりがありません。
世界がリセットされることはないので、
あなたが直した塔も、架けた橋も、消えずに残りつづけます。
そして境界は、いまも少しずつ外へさがりつづけています。
あなたの配信を誰かが見るたびに。

積み重なった時間そのものが、この街の景色です。
第四章は、誰かが書き終えるものではなく、
これから住む人たちが、少しずつ書き足していくものになります。

▸ 記録の書架

四番目の棚は、空のままにしてあります。
あなたの一冊を、そこへ置いてください。
——あなたの物語が、この世界をまた動かします。

あなたの手で、この世界を
再び形づくりませんか?

7月18日(土) 受付開始 ← トップへ戻る